「安定」というのは本来この世にないものだと思うんですよ。その昔、人間が狩りをしていた時代でも作物がとれて定住できるようになった時代でも「安定」という概念は存在しなかったと思うのです。なぜなら、人はいつ死ぬか分からないし、明日食べられる保証はどこにもないからです。ただ、技術や社会制度の変化よってだんだん毎日生きることが当たり前になってきた。この世に「安定」があると勘違いしたわけです。
「安定」の正体は何かというと、1年先10年先も生きていられるであろうという見通しが立てられる状態が今あるということですよね。ざっくり言えば、10年先だろうが20年先だろうが、死ぬまでお金が入ってくる状態だったり、お金に困らない状態を指している。
では、この状態に持っていくのに現行の制度で一番近いやり方は既得権益を持つことです。既得権益と言うと、政治家や行政などの不正が行われる際に出てくる特別なイメージがあると思います。でも、もともとそういう意味ではないし、悪いイメージの言葉でもないのです。例えば、サラリーマンの給料だって既得権益です。毎月定額で入ってくる保証・契約があるからです。そう考えると、この世の多くの人が既得権益を求めて動いていることが分かります。
ただ、既得権益というのは厄介なもので、そこを求めて手に入れてしまうと、しがみつきたくなってしまうのです。既にある自分の権益に囚われると、権益を失う恐怖や不安が心の大部分を占めるようになってきます。権益が大きくなるほど動けなくなってきます。そうすると、やりたいことなどできないのです。
つまり、やりたいことをやるには、安定や既得権益などとは反対のところで生きていく必要がある。安定、恐怖、不安、これらのマイナス要因を手放せていることは思いの外、重要です。今を生きるにはそうしたことを取っ払った思考ができる人だけだと思います。
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