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ダイバーシティはなぜ広まらないのか

ダイバーシティとは、文化、国籍、性別、価値観などが異なる、多様な人材を活用しようという考え方ですが、日本ではまだまだ浸透しているとは言えません。新卒という形で条件なども引っくるめて一律に雇用する文化があり、画一的な労働者を求める傾向が未だ根深く残っているからです。別に就活が悪いと言っているわけではないですが、雇用される側もそこに合わせて就活することになるわけで、そういう文化がスタンダードになっている以上、ダイバーシティを積極的に受け入れようとする機会を必要としないのです。そんなことしなくても、大企業ならある程度良い人材が今は集まるでしょうしね。

そもそもダイバーシティという考え方がなぜ国内でこれほど騒がれるかというと、グローバル化や日本の若者が減っていく情勢を踏まえて、「優秀な人材を獲得する為」です。国籍や性別や価値観が違っても、優秀であれば積極的に取り入れて、これまで日本企業が維持してきたシステムを延命させる狙いがあるわけです。ただ、うちの場合は優秀な人材を獲得する必要性はあると思いますが、ダイバーシティに同意する根本的な理由が他の企業とは違います。

これは創業者の私が、人に管理されるのが嫌だという単純な話です。決まった時間に出社するのって嫌じゃないですか。御用聞きじゃなくて、自分で考えて仕事に創意工夫していきたいですし。自分が嫌なことを誰かにさせたくない、という考えが根本にあるんです。そうなると、必然的に世の中では当たり前の常識やルールに該当しない運営方針になってきます。例えば、うちでやっている全スタッフリモート勤務やフレックスタイム制はその象徴です。これは私自身、「リモート勤務」「フレックスタイム制」という言葉があることを知らない創業期から導入していることです(笑)。常識に縛られず、ゼロベースで考えたわけです。

と、こういうふうに考えて職場環境を整備していると、自然と社内の人材のバリエーションはダイバーシティに近いものになってきたわけです。だから、うちでは子育てしながらバリバリ稼ぐ人や外国人とか、外国に住みながら働く人とか、色んな人が働いています。また、定期的に会って打ち合わせするわけですが、これも柔軟にやっています。例えば、関東や東北や海外のスタッフとは電話で連絡をとったり(オフィスは大阪)、年に1,2回海辺の会場でBBQなどをやったりしてオリエンテーションをするわけです。

一律にこう、というルールがなく、柔軟にその都度対応しているから、なんとかダイバーシティの受け皿を用意できているわけですね。逆に言えば、ルールの元に動いている組織では、多様な人材を受け入れても運用に苦労すると思います。彼らの自主的な行動が、組織の倫理観にそぐわない場合は排除の方向に向かうか、ルールで抑えつけるかしかないわけですから。「個性を重視」などといって、実際には個性を抑えつけるルールだらけだと、多様な人材は定着しないというわけです。

ただ1つ注意が必要なのは、ルールを必要としない人と一緒に仕事する必要があることです。ここが一番難しいかもしれません。ルールがないと何もできない人を登用すると、無駄なルールを無くすことで「フリーダム」な状態になってしまうわけです。残念ですが、確実にそうなります。そうなると、これまで通り管理化を強化するしかありません。ですが、ルールがなくても、自ら積極的に行動する人を登用すれば、そこにある自由は「リバティ」となります。このあたりは試行錯誤を繰り返すことで改善していくしかありませんが、うちの場合は着実に、一緒に仕事していてみんなが気持ちのよいチームが出来つつあります。

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